MENU

アサーティブコミュニケーションって具体的にどうすればいいの?DESC法について解説

  • URLをコピーしました!

◎アサーションの概念、考え方については理解した

◎人間関係を円滑にするために、特に言いづらい場面で効果的だということも理解した

ジャック

さっそく実践したいけど、具体的にどうやるのか教えてほしい

というお声に今回は答えます。

目次

DESC法

前回、「自分と相手を同じくらい尊重する」ということと、4つの柱「率直」「誠実」「対等」「自己責任」がアサーションの根幹であるとお伝えしました。(詳しくはこちら→https://sensaikousatu.com/what-is-assertive-communication/

でも実際、“何をどういう風に伝えればいいの?いきなりやれって言われたってできない!”となりますね。

アサーションの実践に役立つのが「DESC法」です。

英語の頭文字をそれぞれ取って“DESC”と呼んでいます。この方法に沿って伝えると、アサーティブコミュニケーションがうまくいきやすくなります。

Describe(描写)】:事実、状況を話す。ここでは自分の感情や思いではなく、客観的な事実を伝えます。

Explain,Express, Empathize(説明する、表現する、共感する)】:Eは複数の解釈があります。説明や表現するのは自分の意見や気持ち。自分がどう思っているのか、不安、悲しい、困っている等、自分の素直な気持ちをまずは自分が気づくことが大事です。共感するという意味では、相手の主張や行動に対してねぎらいや共感できる部分はしっかり伝えます。そうすることで、こちらはあなたのことを考慮していますよということが伝えられて相手も心を開きやすくなります。

Suggest(提案)】どうしたら解決できそうか考え、提案する。相手にどうしてほしいのか、どうなったら自分の悩みが解決するのかと同時に相手に受け入れやすい提案はないかを考えて伝える。もちろん、その提案が通るかは自分の伝え方や相手次第です。あくまで提案ですので、「~してください」と自分が相手の行動を決めないように選択肢を相手に残すことが大切です。

Choose(選択する)】:Sで提案したことに対して相手がYesかNoどちらの応答でも対応できるよう、自分の行動を選択する。自分の提案に相手がYesの場合はそれでよいですが、Noの場合まで考えておくことで、後悔するような結果になるのを防ぐことができます。

これだけ見ても、いまいちピンと来ないと思うので、例を挙げて使ってみます。

例)あなたは友人とショッピングに出かけました。友人Rは買い物に夢中になり3時間、休憩することなくお店を何件も回っています。時刻はもう15時。あなたは歩き疲れたし、トイレも兼ねて休憩がしたいと思いました。友人にアサーティブに伝えてみようと試みます。

D(事実や状況の描写):「ねぇR、今15時だよ。私たち買い物で色々お店回って3時間経つし・・・」

E(自分の気持ちや要望の説明、相手への共感):「Rも歩き回って足疲れてない?買い物ってあっという間に時間が過ぎちゃうよね。夢中になっているところ申し訳ないんだけど、もうそろそろ休憩したいな」

S(どうしたらいいか提案):「今買い物かごに入っている商品のお会計が済んだら向かいの喫茶店で休憩するのはどうかな?」

C(提案後の相手の返答に対する自分の言動の選択):

「(Yesの場合):ありがとう。うん、そうしよう。じゃあ、私、Rがお会計してる間に席を取っておね!」

「(Noの場合):そっか、目的の物を全部買ってからであれば、先にトイレだけでも行ってきていいかな?」→「(Yesの場合):ありがとう!じゃあ行ってくるね。トイレ混んでるかもしれないから噴水の前に集合にしよう」

DESC法にならって文が構成されているのがご理解いただけたでしょうか?

もう少し理解を深めるために、各パートごとにポイントを解説していきます。

D(事実や状況の描写):「ねぇR、今15時だよ。私たち買い物で色々お店回って3時間経つし・・・」

→客観的な事実や現在の状況を描写するためには具体性も大切です。頻度や距離などの数字、共通認識で分かる情報があれば、この例のように「15時」や「3時間」等、数字を入れると相手に正しく伝わりやすくなります。

E(自分の気持ちや要望の説明、相手への共感):「Rも歩き回って足疲れてない?買い物ってあっという間に時間が過ぎちゃうよね。夢中になっているところ申し訳ないんだけど、もうそろそろ休憩したいな」

アイ(I)メッセージ

→「もうそろそろ休憩したいな」のセリフには、「私は」の主語が省略されています。「(私は)もうそろそろ休憩したいな」ということです。主語が”私”で始まるメッセージを『アイ(I)メッセージ』といい、アサーティブコミュニケーションのEのパート、自分の気持ちを伝える時に「私は~と思う」「私は~したい」などといったように使います。「夢中になっているところ申し訳ないんだけど」と、クッション言葉(こちらで詳しく解説しています→https://sensaikousatu.com/use-cushion-words/)が入っています。主張する前や言いづらいことを伝える前に入れるようにすると効果的です。

逆にタブーなのは、“あなた”を主語にする『Youメッセージ』や、“私たち”を主語にする『Weメッセージ』です。

Youメッセージの例)「あなたはいつも遅刻する」「なんで(あなたは)部屋片づけないの?」

Weメッセージの例)「私たちはあなたのいい加減さに困っている」「みんなあなたが事の発端だって思ってるよ」

YouメッセージもWeメッセージも、相手を責める表現になりがちです。アサーティブコミュニケーションは、相手を責めて追い詰めることを目的としません。むしろそんなことをしてしまうと、相手が傷ついたりこちらの主張に耳を傾けてもらえなくなる可能性があります。コミュニケーションがスムーズにいかなくなりアサーションから遠ざかってしまうため、使わないように注意します。

S(どうしたらいいか提案):「今買い物かごに入っている商品のお会計が済んだら向かいの喫茶店で休憩するのはどうかな?」

→「~するのはどうかな?」と、相手に提案しています。相手はもしかしたら自分と同じように休憩したいと思っていないかもしれない、という視点も必要です。「~してください」や「(あなたが何と言おうと)~します」と言い切る形、相手の有無を言わせない形で伝えるのではなく、自分は~と思うので~するのはいかがですか?といったようにお伺いを立てるようにします。自分の主張をしても、寄り添う形になって一方的に感じないのは、提案することにより相手へ選択肢が与えられるためです。

C(提案後の相手の返答に対する自分の言動の選択):

「(Yesの場合):うん、そうしよう。じゃあ、私、Rがお会計してる間に席を取っておくね!」

「(Noの場合):そっか、目的の物を全部買ってからであれば、先にトイレだけでも行ってきていいかな?」→「(Yesの場合):ありがとう!じゃあ行ってくるね。トイレ混んでるかもしれないから噴水の前に集合にしよう」

→「今買い物かごに入っている商品のお会計が済んだら向かいの喫茶店で休憩するのはどうかな?」というこちら側の提案に対して、相手はOKしてくれるのか、NOなのか、それとも相手から別の提案をしてくるかもしれません。

つまり、相手や状況によって返ってくる反応は様々だということを念頭に置きます。

相手から別の提案がどんな提案なのかまで予測はなかなか難しいものです。そこまで推測して対応をあらかじめ用意しておくのは上級者の域ですので、とりあえず最初のうちはこちらの提案にYesの場合とNoの場合を考えるで十分でしょう。

Yesの場合、つまり相手がこちらの提案に賛成してくれた場合はそこで交渉成立なのでそんなに考えることもないのですが、Noの場合は別の代替案を考えなければなりません。Noが出たからといって自分の主張を容易に捨てる必要はありません。そうしてしまうと結局パッシブ(受け身型)に近い形になり、自分が納得いかない形で終わってしまいます。考える際に、自分はどこまでなら妥協できるかということと、相手が求めているものは何なのか、そしてどうすればこちらの提案を受けやすいかという視点が必要になります。自分の主張も大切にしながら相手のことも慮るということです。

今度は相手のセリフを加えて、会話・実際のコミュニケーションのようにしてみます。

提案にYesのバージョン

私「ねぇR、今15時だよ。私たち買い物で色々お店回って3時間経つし・・・」

友人R「えっ!?もうそんな時間になるの?早いねぇ、夢中で気づかなかった」

私「Rも歩き回って足疲れてない?買い物ってあっという間に時間が過ぎちゃうよね。夢中になっているところ申し訳ないんだけど、もうそろそろ休憩したいな。今買い物かごに入っている商品のお会計が済んだら向かいの喫茶店で休憩するのはどうかな?」

友人R「そうなんだよね、時を忘れる。楽しいから疲れは感じないよ、お気遣いありがとう。でもそうだね、ちょうどおやつの時間だし休もうか。喫茶店賛成!」

私「うん、そうしよう。じゃあ、私、Rがお会計してる間に席を取っておくね!」

提案にNoのバージョン

私「ねぇR、今15時だよ。私たち買い物で色々お店回って3時間経つし・・・」

友人R「えっ!?もうそんな時間になるの?早いねぇ、夢中で気づかなかった」

私「Rも歩き回って足疲れてない?買い物ってあっという間に時間が過ぎちゃうよね。でも、もうそろそろ休憩したいな。今買い物かごに入っている商品のお会計が済んだら向かいの喫茶店で休憩するのはどうかな?」

友人R「そうなんだよね。うーん、でも今のうちにさっさと買っておかないと人気商品だから売り切れちゃいそうだな・・・休憩してるうちに売り切れるくらいなら今買い物を全部終わらせたいかな」

私「そっか、目的の物を全部買ってからであれば、先にトイレだけでも行ってきていいかな?」

友人R「それはさすがに「トイレに行くな」とは言えないよ(笑 行ってらっしゃい!」

私「ありがとう!じゃあ行ってくるね。トイレ混んでるかもしれないから噴水の前に集合にしよう」

ジャック

相手のセリフが入って会話形式になるとDESCがつながってイメージしやすいね。

まとめ

アサーティブに伝えるために役に立つ「DESC法」について解説しました。DESCに沿って話すことを組み立てていくとコミュニケーションがグンとアサーティブ寄りになります。ちなみに必ずしもD→E→S→Cの順にもっていかなければならないわけではなく、場面によってはE→D→S→Cの方が自然になることもあります。

例)仕事でリーダーを担っているあなたが、同じチームの新人Tさんに仕事を依頼する場合

D:「これからみんな営業に出る予定ですが、戻りは18時頃になるでしょう。私もこの後会議があり、この部屋を1時間くらい空けます。」

E:「Tさんはいつも30分早く出社して頑張ってくれていますね。とても助かっています。そのおかげでみんなは安心して営業に出れるんですよ。」

S:「Tさんも他の仕事があって大変だと思いますが、私が戻ってくるまで1時間くらい電話対応もお願いできますか?」

C:「ありがとうございます。それでは終わり次第、すぐ戻ってくるのでよろしくお願いします。」

↑DESCの順番通りの文です。主観ですが、Eの部分はなんとなく付け加えた感があります。

E:「Tさんはいつも30分早く出社して頑張ってくれていますね。とても助かっています。そのおかげでみんなは安心して営業に出れるんですよ。」

D:「そのみんななのですが、これから今日も営業に出る予定で戻りは18時頃になるでしょう。私もこの後会議があり、この部屋を1時間くらい空けます」

S:「Tさんも他の仕事があって大変だと思いますが、私が戻ってくるまで1時間くらい電話対応もお願いできますか?」

C:「ありがとうございます。それでは終わり次第、すぐ戻ってくるのでよろしくお願いします。」

↑このように、EDSCの順にした方がしっくりくる場合があります。

コミュニケーションは生ものだし変幻自在ですので、リアルタイムでは十分に考える間もなく過ぎてしまうでしょう。今発生している会話の中でDESCを即興で頭の中で作って話すのはまだ難しいと思いますので、最初は様々な場面を想定して文を考えたり、表現を磨く練習から入るとよいでしょう。DESCに慣れてくると、それに伴ってアサーティブの姿勢がついてくると思いますので、後は失敗を恐れず実践していくのが上達の近道です。

アサーティブ度を上げるポイント

1.DESC法を使って文を構成する 【※あくまでツールとして活用し、型に縛られ過ぎないように注意する】

2.「私は」から始まる「アイ(I)メッセージにする」と自分の意見・気持ちを伝えやすい 【※自分の本当の気持ちを把握する必要あり】

3.必要に応じてクッション言葉をプラスする

4.相手への共感をなるべく入れるようにする

5.言葉だけではなく、話し方や表情などの非言語にも注意を払う

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

HSP/INTPで日々葛藤、模索しながら生きています。福祉の職場で向かない仕事をしながら傍らでブログを始めたところです。当事者だから書けること、これから色々とアップしていく予定です。
よかったら宜しくお願いします!

目次