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似ているようで違う?HSPとよく混同されがちな『不安障害』まとめ

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みのる

HSPって精神疾患や発達障害とどう違うの?

そんな疑問に答えます。

今回は「不安障害編」です。

目次

HSPと不安障害

HSPは人よりも様々な刺激を受け取りすぎてストレスや疲れを抱え込みやすく、不安や恐怖といった感情に陥りやすくもあります。そのため、HSPと不安障害が似て非なるものですが、場合によっては二次的に不安障害になってしまうおそれがあります。不安障害、字を見て何となく検討がつくかもしれませんが、どんなものなのか見ていきましょう。

不安障害とは

『大勢の人の前で話すときや大事な試験のとき、緊張して汗をかいたり、心臓がドキドキしたりするのは当たり前の反応です。でも心配や不安が過度になりすぎて、日常生活に影響が出ていたら、それは不安障害かもしれません。不安障害は、精神的な不安から、こころと体に様々な不快な変化が起きるものです。』

不安障害|こころの病気について知る|ストレスとこころ|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省 (mhlw.go.jp)より、一部抜粋

不安障害の種類

不安障害とひとくちに言っても、人によって不安を感じる対象や度合いも異なり、様々な種類があります。

1.パニック症(パニック障害)

突然、激しい不安や強い恐怖を感じ、発作的に心臓がドキドキしたり、めまいや息苦しさなどの症状が現れます。このような突然の不安や恐怖からくる発作的症状を『パニック発作』といい、10分以内にピークに達しますが、この発作が繰り返されることを『パニック障害』と呼びます。

【症状】:汗が出る、体の震え、しびれ、心拍数が速くなる、吐き気、過呼吸、死への恐怖、自分で自分をコントロールできずおかしくなりそうな感覚、動悸、めまい、息苦しさなど

【原因】:明確な原因は判明していませんが、脳の延髄に何らかの異常があることにより発症するのではないかという仮説があります。

なぜ延髄かというと、延髄には体内の二酸化炭素の量を感知する機能があるため、延髄に異常があると、二酸化炭素量がわずかに変化しても過剰に反応し、“酸素不足”と誤認識すれば、呼吸が速くなったり呼吸苦といった症状として現れると考えられているからです。

パニック発作に加え、「また発作が起こったらどうしよう」という『予期不安』もダブルで抱えており、当事者にしかわからない苦しさや恐怖があります。この状態は一カ月以上は続きます。1:3の割合で女性がなりやすく、約60%以上は35歳ごろまでに発症するというデータがありますが、最近は年齢層の低下傾向が見られています。

2.不安神経症(全般性不安障害(GAD))

半年以上、家族や友人、その他生活上の様々なことに対して、例えば「家族が事故に巻き込まれるのではないか」「エスカレーターに乗っていて、途中で止まってしまうのではないか」などといった、漠然とした根拠のない過度の心配や不安が続く状態です。また、そうした不安や心配を自分でコントロールするのが難しいのも特徴です。単なる「心配性」で済めばいいですが、度を越えて本人が困っているか、生活に何らかの支障が出ているかが診断の線引きとされています。

根拠のない心配や不安が慢性的に続くので、心は穏やかではなくイライラしやすくなり、落ち着かずそわそわしたり、気になって眠れなくなる筋緊張外に出るのが面倒くさくなるなどの症状が現れてきます。

他には、頭痛やめまい、吐き気、首や肩のコリ、発汗、悪寒、動悸、息切れ、口の渇きなどがあります。

【原因】:決定的な原因は明らかになってはいませんが、ストレス、その人の性格や心理的・社会的要因、脳の機能障害とする説があります。

【なりやすい性格】:完璧主義、真面目、責任感や執着心が強い、自分を責める、心配性で周りに気を遣いすぎる、内向的、忍耐強い、負けず嫌いなど

3.社会不安障害(社交不安障害(SAD))

人から注目されることや人前で恥ずかしい思いをすることに大きな恐怖を持ち、人との会話だけではなく、電車やショッピングセンター、公共施設など、人が大勢いる場所にいることも辛くなり避けることがあります。

【症状】:頭が真っ白になる、大量の冷や汗、顔が赤く、あるいは青くなる、動悸、緊張で手足が震える、声が上ずる、異常な喉の渇きなど

【原因】:強いストレスや屈辱的経験が自己評価の低さや批判されることへの恐怖につながり後天的に発症する場合や、先天的な性格・気質からだんだん症状が現れてくる場合と、両方が関連していると考えられている

いわゆる「あがり症」や「対人恐怖症」などとも言われますが、症状が出てしまうことに対する不安や恐怖により、人を避け、学業や就業、結婚などの社会生活に支障をきたしてしまうことがあるという点が問題視されています。

ジャック

ちなみに不安障害は女性に多い傾向があるけど、社会不安障害は男女の差があまりないらしい

みのる

東洋人・欧米人の括りで見ると、東洋人の方が不安を感じる遺伝子を持つ人が多いんですって

4.強迫性障害(OCD)

自分の意志とは関係なく、ある特定の観念強迫観念)が浮かび、不安や恐怖、強迫観念を払拭しようとして、重要なことではないと分かっているのに止められず反復強迫行為)してしまいます。

【原因】:遺伝的要因や環境的なもの(家庭や学校、仕事によるストレス、結婚や出産などの環境変化、幼少期の虐待など)が起因しているという見方や、原因なく発症することがあるとも言われています。今のところ、性格との関係は明らかになっていません。

恐怖には様々な種類があり、それぞれ恐怖別に払拭行為として何らかの繰り返し行動をとります。繰り返し行動により、本来すべきことが進まなかったり、恐れるほど脅威ではないことに対して不安や恐怖を抱くので、日常生活に支障をきたすことがあります。

例えば、

不完全恐怖、確認強迫行為・・・物事を万全に完璧に遂行したい気持ちの強い表れであり、「何度も自分で作成した資料の確認をする」、「カギを締めたかガス栓は締めたか等、何度も必要以上に確認してしまう」等といった確認強迫行為を伴うことが多いです。「しっかりできていないのではないか?」という不安を払拭するために何回も確認するという行為に至ります。

縁起恐怖・・・仏滅、4や9、カラス、13日の金曜日など、神仏や言い伝えなどから縁起の悪い数字や色、方角等の嫌なイメージが頭から離れずに恐怖を感じるため、打ち消すように繰り返し行為あるいは回避を行います。

例)「あらゆるものから不吉と思っている黒を排除する」

  「縁起のいい個数を意識して買い物をする」など

加害恐怖・・・実際には起こっていない、本人には全くそのつもりはないのに、自分が他人を傷つけてしまったのではないか、反社会的行為をしてしまったのではないかと罪の意識で心配・不安でいっぱいになります。

例)「気になるその場所に行って何もなかったか確かめる」

  「新聞やネットなどでニュース騒ぎになっていないか確かめる」など

反対に、自分に対する被害が気になってしまう被害恐怖というのもあります。

不潔/汚染恐怖・・・自分が汚れているのではないか?あるいは自分が汚染されるのではないか?など、汚染に対して過度の恐怖を持ち、洗浄を繰り返したり、汚染と思われる場所を回避しようとします。

例)「駅や公園などの公衆トイレは見知らぬ人がたくさん使用していて使うのが怖い、使えない」

  「感染症が気になって手すりは触れなかったり徹底的にアルコール除菌をする、何度も手を洗う」

  「汚染物質や汚れた場所には近づかない」

  「外出から帰ってきたら汚れや菌が体についたと不安になってお風呂で必要以上によく洗う」

ジャック

洗浄強迫行為と言ったりするよ

ぴったり系・・・ものを自分の納得のいく位置や角度にピッタリ合わせるように儀式的に繰り返してしまう強迫行為。「ファイルや本、リモコンなどを、自分のルールに沿ったピッタリ感になるまでそろえる」など『チック症』にも共通な反復行為があるため、強迫性障害と合併するケースもあります。

などがあります。

不安を感じることについて

ここまで読んでもうお気づきかもしれませんが、HSPと不安障害に共通することは「ネガティブ傾向で不安を感じる」ことです。しかし、不安を感じることは身の危険を守るために自然に備わっている機能、感情であり、それ自体が悪というわけではありません。不安を感じるからこそ「このままでは目標を達成できないんじゃないか」と不足分を補うよう努力できるし、リスク管理にもつながります。過剰な不安感は前に進むのに時に障害となり、避ければ場合によってはせっかくのチャンスや可能性を失うことになるかもしれません。

ジャック

不安の反対は・・・安心?

みのる

もし不安感が一切なく常に安心状態だったら、精神的にはとってもラクだろうけど、簡単に騙されたり、けがや病気になったりしそう。

ジャック

なんでもほどほどってことかな

まとめ

前述のように、HSPと不安障害とでは「ネガティブ傾向で不安を感じる」ということが類似していますが、厳密にいえば、HSPは「不安(根拠がある)を感じやすい」不安障害は「不安(根拠がない場合がある)を感じすぎる」といった違いがあると感じました。

例)【HSP】:「表情などから相手の感情を敏感に受け取るため、自分が不快にさせてしまっただろうかと不安

        になる」

  【不安障害】:「起きていないにもかかわらず漠然と災害に遭うのではないかと不安になる」

その他の比較を以下にまとめました。

・反復行為(強迫行為)の有無

・定義(HSP:心理学上の概念、不安障害:精神医学上の概念)

・治療法や対策(HSP:薬物療法はなく、気質の理解を深めて対処法を身に付けていく、不安障害:生きづらさを不安 障害はうつ病薬や漢方薬などの薬物療法があり、精神療法も有効)

・疲れやすく生きづらいこと、敏感で考えすぎる傾向は共通

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この記事を書いた人

HSP/INTPで日々葛藤、模索しながら生きています。福祉の職場で向かない仕事をしながら傍らでブログを始めたところです。当事者だから書けること、これから色々とアップしていく予定です。
よかったら宜しくお願いします!

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