上手く伝わらなくて誤解されることがある
忙しそうにしてる人に話しかけにくい
頼むのが苦手、あるいは、頼むと嫌な顔をされる
言葉によって生活や関係が成立しているという事実
みなさんは朝起きて「おはよう」の挨拶から始まり、どのような言葉を交わしているでしょうか?
その言葉、表現は相手にどのように伝わっているか、というのも気になるのではないでしょうか。
言うまでもありませんが、人が意思疎通を図る時、何かを表現をする時には基本的に「言葉」を使います。話す、聞く、読む、書く、点字や手話なんかも言葉ですね。(私は絵で表現しようと試みたことがありますが・・・)
私たちの生活や仕事が成り立っているのはやはり言葉の使用によるところが大きいのです。
それだけ影響力の大きい言葉ですが、慣れすぎて身近すぎて、あまり意識せずに使っていたりしていませんか?
ちょっと言い方を変えたり言葉をつけ加えるだけで、相手が受ける印象がだいぶ変わってきます。
今回はそんな便利なフレーズやポイントをお伝えします
話下手で言葉足らずでも・・・
「そういうつもりで言ったわけじゃないのに相手に誤解を与えてしまった」
「そんな言い方しなくても・・・」
「もっと他に言い方あるんじゃないの?」
・・・等と思ったことはありませんか?
相手に自分の思いや意図するところを寸分の狂いなく伝えるのは、よっぽど心が通じ合っていないと至難の業です。なぜなら相手によって受け取り方が驚くほど違うからです。“なんでそんな風に受け取っちゃう?”というのは結構あるのではないでしょうか。
“相手の受け取り方なんてその人の感性なんだからこちらでどうこうできるものじゃない。”
それはその通りです。ただ、人は自分に敬意を払ってくれる人を好意的に思う傾向があります。その心理を活かした伝え方をすると、関係が円滑にいきやすくなります。
“私は話下手でコミュニケーションが苦手だからしょうがない”
大丈夫です。話下手でもコミュニケーションが苦手でも、むしろそういう人こそ効果を実感できると思います。
クッション言葉
クッション言葉というのは言葉の通り、話の前あるいは後に加えると、言葉の衝撃をクッションのように和らげてその後のやりとりが円滑に進みやすくなるような言葉をいいます。
断る時や頼む時など、相手に言いづらいような場面で使われ、そのような場面でクッション言葉を加えると、それだけで柔らかい印象を与え、相手も言葉を受け取りやすくなります。
クッション言葉がない会話
明日の朝、植木に水やってゴミも出しといて
(こっちにも都合があるのに一方的だなぁ・・・)他の予定があるからムリムリ!
(そんないい方しなくたっていいじゃない)そう、じゃあもう頼まない。
クッション言葉のある会話
ジャック、面倒かけて悪いんだけど明日の朝、植木に水やりとゴミ出しお願いできる?
(他に予定あるけどなんとか力になりたい)うん、やっておくから安心していってらっしゃい。
ありがとう!ホント助かる
クッション言葉の効果
“頼まれたけど全然嫌な感じがしない”
と思ったなら、相手はクッション言葉を巧みに使っているのかもしれません。
研修など、ビジネスマナーの中で学んだ方は『なんだ、それか』と思うかもしれませんが、使えていない方は結構いらっしゃるようです。ビジネスの場以外でも応用して様々な場面で使えるので一緒に見ていきましょう。
相手の希望に沿えない時
お断りするということは、相手がこちらに何らかの期待をしているから依頼するというのが前提にあって、断ることによりその期待・頼りにしているのを切る行為になります。もし下手に断れば、次のチャンスを失う可能性が高くなったり、相手の信頼を損なうことだって十分あり得ます。人間関係を築いたり保っていくために、言いにくいことをどのように相手にうまくソフトに伝えられるか、というのがカギとなります。
・あいにくですが・・・もともとは『あやにく』が転じてあいにく(生憎と書きますが、生は当て字で「あい」は「ああ」という感動詞、「ああ憎らしい」というような状況を指して使われる。「あいにく混雑しております」など)
・心苦しいのですが
・残念ながら
・誠に申し訳ありませんが
・申し上げにくいのですが
・ご期待に沿えず申し訳ありませんが
・せっかくですが
相手に何かをしてもらうとき
・お手数おかけしますが
・お忙しいところ恐縮ですが
・悪天候の中、ご足労いただき
・恐れ入りますが
・ご面倒でなければ
・お手すきの際に~していただけますか?
謝るとき
謝る時は特に、口先だけにならないように誠意・謝意が伝わるように、というのがポイントです。
どうすれば伝わるのか?
こればかりは小手先のテクニックではなく、心から申し訳ない気持ちがあって、そこにクッション言葉と丁寧な謝罪の相乗効果で初めて功を奏します。
いくら言葉は謝っていても、気持ちが入っていなければマニュアル通りで表面的だなと案外感じてしまうものです。書かれた字にしたって、たとえそんなにうまくない字でも丁寧に一生懸命書いてくれたんだなとか、急いで雑に書いているなというのは見れば分かってしまうものです。
理不尽なクレームの場合は難しいと思いますが、100%こちらが悪くないにしてもこちらが相手に謝れるところはあるか考えてみると出てくるかもしれません。
・ご不便をおかけし申し訳ございません
・大変ご迷惑をおかけいたしました
・心より深くお詫びいたします
・謹んでお詫び申し上げます
こちらの都合で何かを報告連絡するとき
・誠に勝手ながら
・こちらの都合で申し訳ございませんが
何かを尋ねるとき
・差し支えなければ
・もしよろしければ
・お尋ねしてもよろしいでしょうか
・失礼ですが
違う意見を返すとき
僭越(せんえつ)ながら・・・『僭越』なんて難しい言葉、なかなかとっさに出てきませんね。僭越というのは「差し出がましいですが」とか「自分の身分をわきまえず出過ぎたことをするようですが」といった意味です。こういう「へりくだる」姿勢は良くも悪くも日本独特です。「僭越」があまり馴染みがなくかしこまった感じで、使うのに抵抗がある方は以下の表現でも代用できます。
・差し出がましいようですが
・お言葉を返すようですが
・申し上げにくいのですが
・おっしゃる通りではありますが
相手から厚意を受けたとき(感謝)
感謝の気持ちは回りくどい言い方よりストレートに伝えた方が伝わると思います。ただ「ありがとうございます」だけより、具体的に何に感謝しているのかを加えるとよいでしょう。
・~いただき誠にありがとうございます
・おかげさまで~することができました
・~いただき感謝申し上げます
・~に感謝の気持ちでいっぱいです
状況に応じて「誠に」や「大変」「心より」などを入れると、クッション言葉をを強調することができます
→例)「こちらの都合で誠に申し訳ございませんが、●日の営業は●時までとさせていただきます。」
「お忙しいところ大変恐れ入りますが、こちらの申込用紙に必要事項をご記入いただけますでしょうか。」
「先日は●●に関してご尽力いただき、心より感謝いたします」
「すみません」より●●
よく「すみません」を多用する方がいらっしゃいます。「すみません」は、用途は幅広く、謝る時だけではなく人に話しかける時や何か物をもらう時にも使ったりします。私もつい言ってしまうときが結構あります。でも、すべてに適切かと言えば、不適切な使い方をしていることがあります。
「すみません」は軽い謝罪でインフォーマル寄りのニュアンスがあるので、「申し訳ございません」の方がビジネスの場面ではよいでしょう。人に話しかける時は、「すみません」よりも「お忙しいところ申し訳ございません、只今お時間よろしいでしょうか?」という風に、何か物をもらったり感謝を示すべき場面では、「ありがとうございます」がよいでしょう。一緒くたに「すみません」を使ってしまうと相手も何と言っていいか分からず、かえって恐縮してしまう可能性があります。
それから、すみませんといつも謝る言葉ばかり使っていると、心のベクトル、自己肯定感も下降気味になってしまう感じがしますので、「ありがとう」や他のプラスの表現と使い分けていくと、心構えから変わっていくでしょう。
何が何でも絶対謝らない人というのもお見かけしますが、やはり謝るべきところは謝り、謝る必要のないところはむやみに謝らない、というスタンスでいきたいものです。
「してください」より●●
「~してください」は、もちろん「~しろ」や「~しなさい」よりはいいのですが、なんだか私は命令されている感じを受けてしまいます。これは、敬語であり命令形でもあるといった特殊な表現のためです。その他、その人の言い方にもよるのかもしれませんが、「してください」よりも「くださいませ」や「なさってください」の方がより丁寧で、命令感が消えるのでおすすめです。それから、「してください」はこちら側の一方的な要求になりがちですが、「~してくださいますか?」と相手がその可否を選択できる形にすると一方的感や命令感がなくなって格段よくなりますよ。
エサを買ってください
野生なんだから自分で外から確保してください
うう・・・
「できません」より●●
相手の要望に応えられない時、「それはできません」と言ってしまいそうですが、自分が依頼して相手にそう言われたらなんだか突っぱねられた感じがしませんか?「できません」や「無理です」よりも、「出来かねます」「いたしかねます」「難しいです」などといった表現の方がつっけんどんでキツイ感じが和らぎますのでお試しあれ。
それはもう実践しているという方、「プラスα」で、どこまでなら可能なのか、なぜ出来かねるのか、どうすれば可能になるのかなどが伝えられるとグッと相手に寄り添った対応で誠意も伝えられます。
日常でも使えるクッション言葉
慣れていない方にとっては、なんだかかしこまった表現でめんどくさい、日常じゃそんな丁寧に言わないよ!と思うかもしれません。日常のくだけた感じでも基本は変わらず使えます。例えば、
「差し支えなければ詳しいお話をお聞かせいただけますか?」
→「もしよかったらもっとその話聞かせてほしいな」
「あいにくですが今回は控えさせていただきます」
→「せっかくなんだけど今回は遠慮しとくよ」
「先日お話ししました●●の件、ご確認いただけましたでしょうか?念のため、再送付させていただきます。行き違いで既にご対応済でしたら誠に申し訳ありません。お忙しい中大変恐縮ですが、●日までにご返信いただけますと幸いです」
→「この前話した●●の件、確認してくれたかな?念のためもう一度送っておくね。もし行き違いになってたらごめんね。忙しいところほんと申し訳ないんだけど、●日までに返信してくれると嬉しいな」
いかがでしょうか?日常会話の中でも使えそうだと思いませんか?
ビジネスの場面と日常会話では敬語になるかならないかくらいで、根底にある「相手を気遣う」がブレなければ、日常会話でもクッション言葉により相手にキツイ印象を与えることを防ぐことができます。
とはいえ、もともと「相手を気遣う」とはどういうことか、あるいは今まであまり相手のことを考えずにきたという方は、言葉の表現から入っていくのもありだと思います。
クッション言葉はビジネスマナーの一環として教わることが多いかと思いますが、形式的なことではなく、そういう決まり事だからとかではなく、何のためにそれを使うのかということを考えて血肉にしていきましょう。