※この記事は、アサーティブコミュニケーション(https://sensaikousatu.com/what-is-assertive-communication/)、(https://sensaikousatu.com/how-to-use-assertive-communication-and-desc-method/)を読んでからか、既にアサーティブコミュニケーションを理解されている方向けとなっています。
HSPとアサーション
アサーティブコミュニケーションは、「自分の思いや価値観を大事にすると同時に相手のそれも尊重する」というコミュニケーションの取り方でしたね。HSPの、「相手を気遣う、尊重する」という素晴らしい強みがここで活かせるように思います。相手のことを尊重することが難しい、または慣れていないと、アサーティブコミュニケーションを行う上で苦戦するのですが、本来のHSPの気質によって難なく普段通りできてしまうのではないでしょうか?
難しく考えず、いつも相手に対して気遣いしている延長だと思って、ただ、尊重しすぎて自分の気持ちをないがしろにしてしまいがちなので、自分の気持ちを伝えていく術を学んで表現力を強化すれば鬼に金棒だと思います。
とはいえ、自分の気持ちや意見を主張したら相手を傷つけてしまったり不快にさせてしまう、波風立てないようにするには我慢して言うとおりにするより他はないと、溜め込んでいませんか?
確かに相手から言われたことを納得いかなくても「はい、わかりました」とすべてYesで言うとおりにすれば相手は清々しいしでしょうし波風は立たないでしょう。ですが波風は立たなくても自分の中の心拍数はストレスで激しく波打っているかもしれません。結局後で愚痴ったりストレスを貯めこんでいつか爆発するリスクを抱えるくらいなら、やはり自分のこと、自分の気持ち、意見も主張していく方がよいのではないでしょうか。
Noの時はNoと主張していいのです。どんな人にも主張する権利があります。
ただ、Noを主張するときは言い方を工夫する必要があります。
伝えるために、角を立てないようにどういう表現をしたらいいか考えるのも、相手の返事にまた答えるのもめんどくさい。
はい、確かにめんどくさいです。それに疲れます。
でも、伝えて良い方向に動けばしめたものだし、思うような結果に行かなくても伝える努力はした、やるだけやったんだと吹っ切れることができます。
『コミュニケーション力が高い』ってどういうこと?
よく「コミュニケーション力が高い」、「コミュ障」などと言いますね。“コミュニケーション力を高める方法”と調べれば方法はたくさん出てきます。
ですが、そもそもコミュニケーション力が高い人っていったいどんな人なのでしょう?
明るいムードメーカー的存在の人?
話が上手い人?
誰とでもすぐに打ち解けられる人?
正解は一つではないのでしょう。人それぞれ考える「コミュニケーション力の高い人」がいて結構だと思います。
私は、コミュニケーション力を自慢としている人や人に「あなたコミュニケーション苦手でしょう?」とか言ってくる人に限ってそのコミュニケーション力に疑問を持ちます。なぜなら私が考えるコミュニケーション力の高い人というのは話を盛り上げたり異様にハイテンションというより、相手のニーズや心の機微を察知できる人で、そういう人は相手の話をよく聴いています。決して相手が不快になる言い方はしません。
営業やサービス業は特にコミュ力を必要としますが、ガンガン話していけばいいというわけではないでしょう。やはり人の立場に立って考えて言葉を選んで相手が何を求めているかを中心にコミュニケーションが取れる人が信頼を得て、人が寄ってくるのだと思います。必ずしも外向的とは限らないし話し上手とも限りません。
自分の気持ちに素直に
アサーションでは、自分の本当の気持ちを相手に伝える部分があります。自分の気持ちが自分で分かっていないと伝えることはできませんね。
あなたはその時その時の自分の気持ちを自分でしっかり認識できていますか?
また、認識できていても適した言葉にできますか?
自分のことなのだから当たり前でしょ?と思われそうですが、案外、自分はどうしたいのか気持ちが自分でもわからなかったり、言葉として出てこなかったりするものです。それは、自分の気持ちを主張することを抑えてきてきたり、主張する機会があまりなかったからかもしれません。そうなると、アサーションが一層難しくなります。なので、いきなりアサーションに行く前に、自分の気持ちをきちんと把握しそれを的確に言語化できるようになっていなければなりません。
どうすればいいのか?
日ごろから「今自分はこの状況でどのように感じたのか」、例えば日記に書くでもいいですし、日記が苦手な人は毎日でなくてもいいので、特に感情が揺れ動いた日には「どんなことがあってなぜその感情になったのか、自分はどうしたかったのか、相手にどうしてほしかったのか」文字に起こしておくといいでしょう。頭の中で考えるより、文字にして言語化することで、自分で改めて自分の思考を認識することができるからです。
普段あまり主張しない人は、日常のちょっとしたことから練習をしていくとアサーションへの第一歩になります。
例えば、美容室で「このくらいの長さでいいですか?」と聞かれ、いつもは“面倒だからこれでいいや”と済ませてしまうところを「すみませんがもう1センチほど切ってくれませんか」と頼んでみる。
レストランで「この席でいいですか?」と案内されたら「タバコの煙が苦手なのであそこの窓際の席でも構いませんか?」と主張してみたり、この時ちゃんと自分の気持ちや理由を伝えるのも練習になります。
アサーションでDESC法を使いますが、このDESCが長くてなかなか実践で使いづらいという方は、最初は「クッション言葉(https://sensaikousatu.com/use-cushion-words/)+依頼あるいは提案」
例)「お手数おかけしますが区役所から連絡が来ましたらこちらへご一報いただけますか?」
それだけでも、唐突に「●●お願いいたします」より随分印象が柔らかくなります。
それが慣れてきたら「クッション言葉+理由+依頼」
例)「お手数おかけしますが区役所からの連絡の有無でこちらも動きが変わってきますので、連絡が来ましたらこちらへご一報いただけますか?」
とすると、よりこちらの意図が伝わって意思疎通がスムーズになります。
あとは、感謝の気持ちを伝えるのが日ごろあまりない人はその意識や実践も必要です。
小さなことから、例えばエレベーターで扉を開けて待ってくれた人に「ありがとうございます」、車に道を渡るのを止まって待っていてくれた時も軽いお辞儀するだけでも伝わると思います。できそうな小さなところから始めてみると思いを伝える表現力がついてくるでしょう。
相手の気持ちを読むには
相手によって感じ方、捉え方も違うので的確に読むのは難しいものです。いくら相手の気持ちを読むのが得意なHSPでもこれだけ人がいれば読みづらい相手もいたりします。
対策として、小説や詩、映画など、読んだり観たりしていくと様々な立場や状況に置かれた人の気持ちや行動がより分かるようになるでしょう。その他、人に「その時どんな気分だった?」と聞ければ聞くのも手っ取り早いですね。実生活でも色々な事に挑戦したり経験していけば挫折や苦労、喜びなどおのずと体験することになるので、経験・体験したことから大体の察しがつくようになると思います。HSPの人は読み過ぎて疲れてしまわぬように注意が必要ですが・・・
アサーションは何のため?
人間関係をスムーズにするコミュニケーション法として別の記事でアサーティブコミュニケーション、アサーションをご紹介しましたが、“人に嫌われないようにしなきゃ”というものでも勝ち負けでもなく、自分で後悔しないように誠意を尽くしたうえで理解してもらえない、うまくいかないのであれば「しかたない」「まぁいいや」と一種のあきらめも必要です。
「みんなに好かれたい」とか「論破しなきゃいけない」等と固執すれば、自分が辛くなってしまいます。
どんな好感度が高い人でも万人から好かれるのはありえないことですし、仮にそれが叶うとしても万人にとってのいい人であり続けるわけなので、やっぱりかなりの気疲れやストレスがかかるでしょう。
アサーションは人間関係がスムーズに運びやすいメリットがありますが、自分の気持ちも大切にしていくので、言えないストレスを軽減することができます。
相手と自分を大切にする、その結果として、良い関係が持続させやすいのであって、「好かれなきゃいけない」というプレッシャーで自分の負担を大きくしてまで行うコミュニケーション法ではありません。
お互いにとってWin-Winを目指しますが、「人によって感じ方捉え方、価値観はそれぞれだし、できることはやってそれで分かり合えないのならそれはそれでいい」と割り切っていかないと自分が苦しくなっていきます。
それを心得ていると、一喜一憂することが減り、長い道のりですが、ついには冷静に俯瞰して対応できるようになっていくでしょう。