適応障害って最近よく聞くようになったけど、どんなものだろう?
そんな疑問に答えます。
今回は『適応障害編』です。
適応障害とは
『日常生活の中で、何かのストレスが原因となって心身のバランスが崩れて社会生活に支障が生じたもの。原因が明確でそれに対して過剰な反応が起こった状態をいう。
日常生活の中で起こった出来事や環境に対してうまく対処できず、心身に様々な症状が現れて社会生活に支障をきたす状態をいいます。ストレスの原因が明確であることが定義上重要となります。』
適応障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)より引用、一部抜粋
自分の中の基準・価値観と、現実社会とで大きなギャップがあったとき、そのギャップを埋めよう・適応しようと頑張るのですが、自分と合わない・適応が困難な環境でもがくこと自体が大きな負荷、ストレスとなるのです。
今まで取り上げてきた精神疾患や発達障害に比べ、原因が『ストレス』とはっきりしています。遺伝や脳機能の問題ではないんですね。
つくづくストレスって怖いものだね
『過度の』ストレスっていうのがポイントだよ
ストレスは目に見えないものですが、産業医で職場メンタルヘルスの専門家である夏目誠先生の数値化してストレス度を測れる『ストレス点数票(ストレス点数 – 夏目誠の公式ホームページ (natsumemakoto.com))』があります。自分が今どれだけのストレスを抱えているのか数値で把握できます。
ちなみに私は赤信号の393点でした・・・。興味深いのは、一見ストレスではないんじゃない?という出来事、例えば『個人的な成功があった』や『長期休暇がとれた』なども加点項目として含まれていることで、良いことも悪いことも環境の変化として心身に負担がかかるということかなと勝手に解釈しています。
ストレス点数票の中で一番ストレス度数の高いものは『配偶者の死』でした。他のデータ、米心理学者トーマス・ホームズ氏と内科医であるリチャード・レイ氏が5000人の患者への調査をもとに作成した『社会的再適応評価尺度(ストレス度診断チェック | 自律神経失調症ガイド (jiritsuguide.com))』の中でも『配偶者の死』は最高点の100点とされていました。それだけ配偶者の存在というのは非常に大きいのですね!
入学・卒業・就職・転勤・結婚・出産・介護・・・といった節目節目のライフイベントは結構な環境変化でストレスが大きいものです。対して日常の中でストレスを感じることとしては、ご想像通りかもしれませんが、『職場や学校』で、それも『人間関係』が割合が高くなっているようです。
症状の表れ方は人それぞれ
適応障害は、症状が『うつ病』と相似しているとよく言われます。
ただ、適応障害は原因がストレスと明確であること、うつ病は必ずしもストレスが原因で発症するのではないため、ストレス要因から離れたときに症状が治まるのが適応障害、離れていても症状が続くのがうつ病だったりします。適応障害からうつ病へ発展することもありえます。
適応障害の症状は“必ずこの症状が出る”というものではなく個人差があり、身体面や精神面、行動面から表れます。
【身体面】:『動悸』『めまい』『全身のだるさ』『疲労感』『不眠』『吐き気』『腹痛』『頭痛』『胃のむかつき』『食欲がない』『肩こり』など
【精神面】:『不安』『抑うつ』『焦燥感』『意欲・集中力の低下』『落ち込み』『易怒的』など
【行動面】:『過度の飲酒』『物の破壊行為やけんか・論争』『遅刻・無断欠勤・欠席や早退』『手が震える』『暴飲暴食』『危険な状態での車運転』『薬物使用』『自殺の企図』など
ストレス要因は外部によるものだけではない!?
環境に適応できないという大きなストレスによって適応障害になるということですが、そのストレスは外部的要因に限らず、「内部的要因」も考えられます。外部的要因というと、「仕事の質や量」「人間関係」などがあげられますが、内部的要因は「自己のストレス反応」「適応力」といったものです。
何が言いたいかというと、ストレス社会であらゆるストレスを受けてしまうのは仕方のない部分がありますが、同じストレスを受けても「気にならない・気にしない人」と「気にしてしまう人」がいることも明らかです。この違いは「ストレス耐性」の差なのです。言ってみれば、上司や仕事の量などが変えられないとしても、自分のストレス耐性は自分の努力しだいで強くできるということです。
地獄極楽は心にありっていうことだね
理屈はそうだけど、それがなかなか難しいんだよね
ストレスから遠ざかれば一時的に症状は緩和されますが、それでは本質的な問題は解決しません。
また同じような状況になったら繰り返すだけです。辛くなったら一旦離れることも大切ですが、ストレスに簡単に負けない力をつけて適応できる自分を目指すことが生きやすさへの近道なのです。
特徴
まとめ
「周りを気にする」「ストレスを必要以上に受けやすく傷つきやすい」というのはHSPにも適応障害にも見られますが、その後の症状、そして適応に困難でまいってしまうのか、それとも生きづらさや疲労感がありながらもなんとかやっていっているのかというのが分かれ道のようです。ストレス耐性については、適応障害だけではなくHSPや発達障害、精神疾患にも関わることですので、これからストレス耐性をどうつけていくかということも書いていく予定です。